夕張岳登山情報

【夕張岳登山情報】

夕張岳は花の百名山、日本二百名山としても知られるようになりシーズン中(6月~9月)には、約4,000人の登山者が訪れています。
夕張山地の南端近くに位置し、主峰の座は芦別岳(1726.5m)に譲るものの、訪れる登山者は圧倒的に多い。それは上部に蛇紋岩の露出地があり、複雑な地形と合わせて多種類の高山植物を見られる事に因るものと思います。
登山路は東西に各1コースありますが、札幌に近い西側の「大夕張コース」がかなり賑わっています。夕張岳ヒュッテが建っているのも大夕張岳コース側です。
夕張岳の語源は、夕張川の水源に因る山名と思われますが、ユー・パロの意味は「鉱水の川口」の説が有力の様です。これ以外の登山道情報については、各ガイド本や夕張市教育委員会または南富良野町教育委員会(金山コース)などへお問合せ下さい。

※ ここで紹介する登山情報は、ユウパリコザクラの会が独自で作成したものです。コースタイムなども個人差がありますので、一般的な登山ガイド本と合わせてご参考になれば幸いです。

【大夕張コース】ガイド

登山口へのアクセスは、ホームページ上「夕張岳のアクセス」をクリックしてご参照下さい。国道から登山口までの林道は約14キロあります。「白銀橋」を渡って約5キロ地点にゲートがあり”ヒュッテまで約9キロ”の案内板があります。ゲートの開放は6・18~9月末 (2011年度)を予定、登山口には20台ほどの駐車スペースがあります。(週末は混み合いますので注意) 国道から登山口まで車でおおよそ30~40分かかるでしょう。

トイレ:登山口駐車場入口とヒュッテ裏にあります。ヒュッテ裏トイレは手作りのバイオトイレです。皆さんでご利用するためにも協力金のお願いをしておりますのでご理解の上ご了承下さい。尚、ヒュッテ宿泊者は無料です。(登山道にはトイレはありません)
ストック:登山道の保護のためストックを使用される方は、先端にキャップを付けて下さい。コース以外の立入は禁止です。
休憩:休む時は草花の上に腰掛けないで下さい。高山植物の採取は犯罪です。絶対に止めましょう。
ヒグマ:この山域は熊の生息地でもあります。食べ物やゴミは絶対に捨てないで下さい。出没情報などは登山口に掲載したりしておりますが、詳しくはヒュッテ管理人にお尋ね下さい。
水場:コース上の水場は、すべて沢水です。「冷水ノ沢」「前岳ノ沢」「憩沢」「1400m湿原」「ヒュッテ」などで得ることが出来ます。(1400m湿原の水場は、伏流水で大変冷たくお勧めです。ただし、各沢水の飲料についてはその安全性は保障するものではありません。あくまでも自己責任でご使用下さい。)
駐車場の先に小さなゲートの横に登山ポストがあります。必ず記入してから登りましょう。(下山時も記入を忘れずにお願いします)
平成27年度より試験的に登山者カウンターを冷水コース、馬の背コースの登山口に取り付けています。併せてご協力お願いします。(下山時は押さないで結構です)

■コースタイム(冷水コース)標高差 1168m 登り4時間10分 下り2時間50分

(登り)林道終点→1:30→冷水の沢→0:20→馬の背コース分岐→0:30→望岳台→0:30→憩沢→1:00→吹き通し→0:20→夕張岳

(下り)林道終点←1:10←冷水の沢←0:10←馬の背コース分岐←0:20←望岳台←0:20←憩沢←0:40←吹き通し←0:10←夕張岳

■コースタイム(馬の背コース)登り4時間20分 下り3時間

(登り)林道終点→0:20→夕張岳ヒュッテ→1:40→冷水コース分岐

(登り)林道終点←0:20←夕張岳ヒュッテ←1:10←冷水コース分岐

※コースタイムは日帰り装備での標準タイムです。個人差がありますので参考情報として活用ください。

<冷水 (ひやみず)コース>

駐車場ゲートから林道を10分ほど登ると右手に「冷水コース」の登山口と「ヒュッテ」「馬の背コース」への各案内板があります。ヒュッテと馬の背コースへは更に真っ直ぐたどり5分ほどで着きます。
しばらくは傾斜の緩やかな造材道が続き、傾斜がきつくなるとコース上はアカエゾマツの植林地を抜け樹林の斜面へと登っていきます。時に直登、時につづら折りとなって辛いのぼりが続きます。30分ほど登るとつづら折りの途中で一旦平らな場所があります。数人なら十分休憩出来る通称「シナノキ平」とメンバーが命名しました。更に30分ほどで第一の水場となる「冷水ノ沢」に到着します。ここまでは西斜面を登っているので早朝は日が当たらず夏場の暑い時期は幸いです。10分ほど先には「前岳ノ沢」もありますが水量が乏しく水場としては冷水ノ沢での補給がいいでしょう。ここからコースは北側へ登り馬の背コースと合流する前岳の西尾根に出ます。ここまで登山口から約1時間30分位です。尾根上はこれまでと違い、展望はかなり良くなります。まずは北側に岩壁をまとった滝ノ沢岳(通称:姫岳)と東側の目の前には前岳を見上げるでしょう。山開きの6月下旬頃から7月上旬には登山道脇に「シラネアオイ」が目立ち始めるのもこの辺りからです。尾根の傾斜が次第に増して最後にかなりの急登となって大岩の点在する台地に出ると間もなくシラネアオイの群生地「石原平 (せきげんだいら) 」に着きます。見頃は、6月下旬から7月上旬で満開の群落は圧巻です。滝ノ沢岳の展望台と休憩地としても利用されていますがシーズン中コースロープを張っていますので、コース外に立ち入ることは止めましょう。南東側に見上げる前岳の岩峰もまた圧巻です。
この前岳の中腹をトラバースするように15分ほどの登りに耐えると滝ノ沢岳の稜線上に位置する「望岳台」に着きます。ここはオーバーハング状に張り出した岩壁上なのであまり端に近寄らないようにして下さい。展望としては本峰の夕張岳はまだ見えませんが、芦別岳が真北に望み、西の遠望には樽前山や恵庭岳も望むことが出来る休憩の絶好の場ともなっています。吹き通しのユウパリキンバイ
さぁ、キツイ登りは基本的にここまで・・。ここからはもう少し前岳をトラバースするように辿るもやがて本峰が顔を出しコースの全容が見えてきて登行意欲に勢いがつくところかも知れない。トラバースが終わって沢に出ると第三の水場「憩沢」となり「シナノキンバイ」「ミヤマダイコンソウ」「ミヤマキンポウゲ」などの群落にも出会える。登山道は憩沢手前から一部木道が敷かれ緩い登りで「前岳湿原」に出てから木道が多くなる。景色は一変し、コース上のガマ岩が近づき高山植物の常連「チングルマ」や「ハクサンイチゲ」などもこの辺りから目立ってくる。ヒョウタン池を過ぎて「蛇紋岩崩壊地」に来ると固有種「ユウパリコザクラ」や「シソバキスミレ」などに会えるかも知れない。ユウパリコザクラ
整備された平坦な木道を進むとやがて「1400m湿原」に到着し水場と夕張岳のビューポイントとしてもお勧めです。湿原の象徴とも言える「シロウマアサツキ」の群落は春から夏への風物詩としても絵になる景色です。広い湿原の木道と花々を楽しみながらのんびりと歩き「釣鐘岩」と「熊ケ峰」の間に向かって少しだけ急登を登ると「吹き通し」のお花畑に到着する。固有種「ユウバリソウ」「ユキバヒゴタイ」「ナンブイヌナズナ」などの群落が登山道脇にへばりつくように生えている。他にも種類は多くつい足を踏み出したくなる場所ですがくれぐれも登山道コースロープから外れないように注意して下さい。
ユウバリソウ 頂上はもうすぐ先で、金山コースと合流してハイマツの急斜面をジグを切りながら最後の汗を掻くと祠(ほこら)のある窪地に出てすぐ目の上が頂上となる。
祠手前や窪地もお花畑で楽しめ、風の強い時などはここを休憩地にすることも多い。頂上の展望は360度。東は大雪山から日高山脈、西には札幌近郊の山々や羊蹄山も望まれます。

<馬の背コース>

冷水コース登山口から分かれ、夕張岳ヒュッテ前にこのコースの登山口があります。林の中に入り沢沿いの踏み跡を辿るとすぐに急斜面のつづら折りの道になって尾根に取付いていきます。登り一辺倒の辛さはありますが尾根の上に出るとところどころで展望が利いて滝ノ沢岳が望まれてきます。
この尾根には見ごたえのある冷温帯針広混交林が残っています。
コース上には二つの顕著なコブがあり、「一ノ越」「二ノ越」と呼ばれた急な登りがあります。一ノ越は道路脇の笹を摑まえながら登るほど急ですが二ノ越は小さくすぐ先には冷水コースとの合流点となります。
以降は冷水コースガイドを参照下さい。

どちらのコースもコースタイムに大きな違いはありませんが、通常お勧めしているのは、登り・冷水コース、下り・馬の背コースです。急な下りがちょっと苦手と言う方は冷水コースの往復がいいでしょう。下山後は是非ヒュッテにお立寄り下さい。(たまには良いこともあるかも知れません・・・?)
ヒュッテ裏には手作りの「バイオトイレ」がありますのでご利用下さい。尚、ご利用に際しトイレの維持費などに対する協力金をお願いしています。

大夕張ルート(冷水コース) 断面図
大夕張ルート(冷水コース) 断面図

<金山コース>

このコースのエリアは、南富良野町側になるためコースガイド並びに登山口までのアクセス等については、各登山ガイド本などをご参照して下さい。コース全長8.6キロに及ぶ長大な尾根歩きのコースです。途中に水場はありません。登山道は比較的整備されています。

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